私の取り組む研究と方向
ゼミ旅行。2009年度学部3年次ゼミ生たちとディズニーランドにて。
2010年3月10日
造形芸術教育とは、「造形(美術)」をキーワードに、人の幸せをいかに実現するかを模索し、 その延長上にさまざまな実践を試みてゆく領野です。人は自らも幸せでなければならないし、 周囲が皆幸せになるように、心をくだいてゆく姿勢が大切です。
授業やゼミでは、「身体論」(現象学/哲学)の知見から、人は皆例外なくつながっており、 互いを認めてあってこそ個々人の幸せや永劫の平和が訪れるであろうことを学びます。 世のあらゆるものとのつながりの中に存在する造形芸術(美術)のもつ深い意味を改めて確かめつつ、 造形を介し互いの友情を深め合ってもらいたいものと念願します。
市川浩『精神としての身体』、同『身の構造』、メルロ・ポンテイ『眼と精神』、 パノフスキー『象徴形式としての遠近法』や関連の原書などをテキストとして講読し、 上に述べた造形や造形芸術教育の存在意義について考察します。
これに並行し、造形系術教育の発生過程をたどる意味で、臨画模写、写生、抽象(表現主義から還元主義へ)に係る 実験的実習を行い、全ての段階に価値と意味があり、多様な要素を統合してゆくことに教科の目標があることを、 教育法規や教育要領の基本を振り返りつつ、論議を深めていきます。
これまで発表してきた論文・エッセイ・翻訳は、昭和46年(1971)以降平成20年(2008)まで37年間で134篇あり、 平成9年(1997)には文部省大学設置審議会において博士課程担当マル合教授資格(美術理論・美術史)が認定されました。過去に大学院において修了を認定した修士論文には、作家研究や美術史では、「三岸好太郎研究」など。博物館・美術館研究では、 「美術館における教育普及活動の可能性」など。美術の授業研究では、「中学校美術教育における絵画指導のあり方」など。 教科書研究では、「無教科書時代における小学校図画教科書」など。教育史では、「国民学校期の図画工作教育」などがあります。